2017.12.26

知っていますか?缶詰・びん詰・レトルト食品の魅力(12月)

① 品質・安全性・保存性

◆缶詰の魅力は 安くて安全、長もち

缶詰の中身は新鮮で栄養価も高いです。缶詰の原料は、一般的にはたくさんとれる旬の時期のものを使うので、季節はずれのものと比べると栄養価が高いことがわかっています。
缶詰は、素材を缶に入れて中の空気を抜き、密封した状態で加熱殺菌をします。ビタミンB1やビタミンCのように水にとけやすく酸化しやすい栄養素は、家庭で調理すると減ったり壊れたりしますが、空気に触れない状態で加熱をする缶詰は損失の割合が低くてすみます。
カルシウムが豊富なことも魅力です。日本人は、カルシウム不足が指摘されています。さばや鮭、いわし、さんまなどの缶詰には、やわらかくなった骨も一緒に入っていてカルシウムが豊富なので、食事のなかに上手に組み入れてみてはいかがでしょう。

見た目はコンパクトな缶詰ですが、思いのほか、中身はたくさん入っています。たとえば、さばの水煮缶。内容総量220gの場合、体長約30cmのさば(約350g)が1尾分入っています。また、スイートコーン(ホール)缶(固形量300g・内容総量450g) 入りには3.5~4本分(1.1kg)のとうもろこし、あさり水煮缶(固形量100g・内容総量130g)には殻付きあさりに換算して1.2kg分、みかん缶(中粒/固形量250g・内容総量435g)には7個のみかんが使われています(これらはいずれも頭や内臓、皮、殻などを除いた可食部分のおおよその量)。

缶詰は完全密封して加熱殺菌しているので、保存料や殺菌料を使わずとも中身が腐敗・酸化することなく、常温で長期保存が可能です。魚、肉、野菜、果物など種類が豊富で開けてすぐに食べることができ、日持ちがするので備蓄にも最適です。普段の食事から活用しておくと、いざという時も安心して使えます(保存・備蓄の際には賞味期限を確認しましょう)。

 

② 最新の缶詰・びん詰・レトルト食品事情

ここ数年は「グルメ缶詰」や「ご当地缶詰」の種類が増えて人気があります。中身も日々進化していて、「ぶり大根」「たこやき」「茶碗蒸し」「いわしの卯の花マリネ」など、お惣菜や完成された料理が缶詰になっています。それらは「缶詰として食べた時に美味しく食べられるか」研究、開発されて作られているので、温めなくても開けてすぐに美味しく食べることができます。また「グルメ缶詰」「ご当地缶詰」といった注目の新商品が増えるなか、それでも変わらず「さば水煮缶」「ツナ缶」「焼き鳥缶」「コンビーフ」など昔ながらの缶詰も常にお店で売られており、根強く人気があります。

レトルトカレー、レトルトパスタソース、中華調味料、鍋つゆ、丼の素、炊き込みご飯の素など、レトルトの種類も毎年新商品が続々登場しています。最近では少子高齢化に伴う人口の減少、女性の就業率上昇、世帯人数の減少などに伴い、大容量タイプでなく少量タイプの種類が増え、多様化する個人ニーズにあわせ、個別で好きな味を楽しみたいと、食べたいときに食べたい分のお鍋や食事を簡単に人数分作れる1人分タイプが人気です。

 

③ 災害食としての缶詰・びん詰・レトルト食品

何か事が起こってから水や食料を買いに走っても、店舗に品物があるとは限りません。 地震や台風、大雨・洪水などの大規模な災害をはじめ、病気やケガ、新型感染症、テロなど様々な「もしも」に備えて備蓄は必要です。これらを想定した場合、「1週間分以上」の備蓄をおすすめしています。
「1週間分以上の水と食料を家族全員分」と考えるとハードルが高く感じますが、特別な物を用意する必要はありません。普段購入している常温保存可能な商品、例えば缶詰やレトルトなどを少し多めに買い置きしておきましょう。普段から消費しながら買い足すことで賞味期限切れを防止しながら無理なく揃えることができます。

健康を維持するために栄養バランスも大切です。基本は、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素を考えることです。エネルギー源になるパンやごはんの缶詰やレトルトおかゆ、たんぱく質や脂質の供給源になる肉、魚などの缶詰やレトルト食品、ビタミン、ミネラル、食物繊維を確保するため、野菜ジュースやフルーツ缶など常温保存できるものを備えておきましょう。缶詰、びん詰、レトルト食品で栄養バランスの良い食事を摂ることができます。

缶詰、びん詰、レトルト食品を普段の食事に取り入れておくと、もしもの時にもスムーズに活用できます。おいしく、しっかり災害に備えてください。

 

管理栄養士・防災士・災害食専門員  今泉 マユ子  プロフィール

「株式会社オフィスRM」代表取締役。1969 年生まれ 2 児の母。
日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT) に所属し、上記資格の他水のマイスター、ジュニア野菜ソムリエ、フードライフコーディネーター、環境アレルギーアドバイザーの資格を生かし、防災食アドバイザーとして幅広く講演、講師活動を行う。テレビ、新聞、雑誌等メディア出演も多数。簡単に作れると「缶詰レシピ」、テレビで紹介された「レトルトパスタソースアレンジレシピ」が好評。著書に「からだにおいしい缶詰レシピ」(法研)「もしもに役立つ!親子で防災力アップ」「もしもごはん」「体と心がよろこぶ缶詰健康レシピ」(清流出版)、共著に「もしもに備える食」(清流出版)など。
 
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