Q&A

QUESTION & ANSWER
缶詰・びん詰・レトルト食品に関するよくある質問をご紹介!

生産・消費

  • 01. 缶詰、びん詰について教えてください
    • 缶詰、びん詰の定義については、品質表示基準(JAS法)、食品缶詰の表示に関する公正競争規約、食品衛生法などで決められています。

      それらに掲げられた定義を総合してまとめてみると、「缶詰、びん詰とは、食品を缶又はびんに詰めて密封したのち、加熱殺菌を施し、長期の保存性を与えた食品である。」ということになります。ただし、果汁製品などのように、缶に詰める前に殺菌を行い、そのあとで充てんし密封するものも、この中に含まれます。同様に、ジャムやつくだ煮のように、煮熟したのち、熱いうちにびんに詰め、余熱で殺菌されるような食品も缶詰、びん詰の中に含まれます。

  • 02. レトルト食品について教えてください
    • レトルト食品の定義については、品質表示基準(JAS法)、食品衛生法の規格基準などで決められています。これらを総合してまとめてみますと、合成樹脂フィルムやこれとアルミはくなどをはり合わせた光を通さない材質のパウチ(袋)または成形容器を用い、内容物を詰めて完全に密封(ヒートシール)し、加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)を行った袋詰または成形容器詰食品のことだといえます。

      レトルト食品の多くは、品質表示基準に定められたレトルトパウチ食品で、光線を通さない袋を用いていますが、内容物が油脂の酸化による品質の低下のおそれのないものに対しては透明な袋の製品もあります。そして、これらの製品には「気密性容器に密封し、加圧加熱殺菌」などと殺菌方法の表示が、食品衛生法で義務づけられています。

      使用される容器の種類を見ると、平袋、スタンディングパウチ(自立型袋)をはじめ、各種のカップやトレー(皿状)容器、業務用の大型パウチのほか、最近では電子レンジでの加熱調理を目的とした、アルミ箔を使用していない容器に入った製品も作られています。

  • 03. 缶詰、びん詰、レトルト食品の国内消費はどれくらいですか?
    • 缶詰、びん詰の国内消費は、家庭消費と業務用に利用されています。

      最近の国内消費量は、果汁、コーヒー飲料などの缶詰を含め(ビール、炭酸飲料、スポーツ飲料は除く)、輸入品を加えると、406万トンと推定され、国民1人当たりの消費量は約31.8kg、これは250g容量に換算すると127缶になります。飲料を除く食料缶詰、びん詰では、約8.3kg、33缶です。

      一方、レトルト食品は、缶詰と比較して歴史は浅いですが、昭和43年に登場して以来その数量を増やしつづけています。現在の消費量はおよそ35万トン(国内生産量に同じ)となっており、国民1人当たり2.8kgで180g入りの袋に換算すると15袋分に相当します。これは10年前の2.2kg、12袋のおよそ1.3倍であり、今後もますます伸びると予想されます。

      缶詰、びん詰、レトルト食品には、そのまま食べられる調理済みのもの、料理の素材として利用できるもの、おやつやデザートとして使えるもののほか、各種の飲料、スープ、調味料などがあります。従って、家庭消費のほか、ホテル、レストラン、飲食店、喫茶店、列車食堂などの外食産業向けや、学校、工場、病院などの集団給食用としての需要が多くあります。

  • 04. 缶詰、びん詰、レトルト食品の特性は何ですか?
    • 缶詰、びん詰、レトルト食品は、他の加工食品に比べて、安全性、栄養価、経済性、保存性、便利さなどからみて、多くの優れた特性をもっています。

      安全で衛生的、栄養価が高い

      缶詰、びん詰、レトルト食品は、空気も水も細菌も絶対に入らない容器に密封し、中身は加熱殺菌を施してあり、殺菌料、保存料は一切使用されていません。また空気をできるだけ除いて密封し、真空に近い状態で加熱殺菌してあるので、ビタミン、その他の栄養成分の損失もあまりありません。

      経済的かつ省エネルギーである

      最近のように人件費が高くなると、生鮮の食品は、輸送保管の費用や取扱い経費が多くかかり、腐敗や目減りによるロスも大きく、小売価格は、生産者価格のおおむね2倍以上になります。缶詰は、原料産地で多く出回るときに大量に買付けて加工し、しかも、常温で流通され、ロスもないので流通経費は生鮮のものに比べはるかに低いのです。

      また、生鮮の食品の場合、食べられない部分が30~50%もあるものがあり、捨てなければなりませんが、缶詰の場合は、中身が全部食べられ、調理の手間も少なくてすむので経済的で、かつ省エネルギーになります。

      利用価値が高い

      缶詰、びん詰、レトルト食品は種類が多く、日常の食事の主食から、副食、デザートまで何でも揃えることができます。また、調理食品のようにそのまま温めて食べられるものから、料理の素材として、少し手を加えるだけで、豊かな食卓を飾ることができるものまであります。

      保存性が高い

      缶詰、びん詰、レトルト食品は完全に密封して加熱殺菌してあるので、貯蔵中に腐敗することなく、長期間の保存ができます。場所、季節を問わず災害時はもちろん、いつでも、どこでも必要に応じ利用できます。

  • 05. 缶詰を買うときに注意することはありますか?

表示

  • 06. 表示の方法はどのように決められていますか?
    • 缶詰やレトルト食品は中身の見えない商品ですので、表示は消費者が商品を選択する上で、最も重要な手掛りになります。現在、缶詰、びん詰、レトルト食品の表示は、品質表示基準、食品衛生法、不当景品類及び不当表示防止法、計量法などによって規制されています。

      ▼ 品質表示基準では、必要な表示事項として、名称(品名)、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者又は販売者の住所氏名、原産国(輸入品のみ)などについて規定しています。これは、消費者が見やすいように枠で囲んだ中に一括して表示することが原則ですが、名称や内容量は、表面に分かりやすく表示してあれば、枠内は省略してもよいことになっています。また、保存方法については、常温で流通・保存されるものは省略することができます。
      この品質表示基準は、缶詰、びん詰、レトルト食品はもとより、すべての飲食料品が表示の対象となっています。

      ▼ 食品衛生法及びその施行規則では、おもな原材料名、食品添加物、賞味期限、製造工場の住所・名称を表示することと規定しています。このうち製造工場の表示は、製造者又は販売者の住所氏名を表示してあれば記号で表示することが認められています。輸入品の場合も同様ですが、製造者の代りに輸入者の住所氏名を示すことになっています。また、缶詰とびん詰については、賞味期限を略号により表示することが認められています。
      食品添加物の表示は、加工助剤など例外的なものを除き、使用したすべての添加物を表示することになっています。

      ▼ 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)並びに食品缶詰の表示に関する公正競争規約では、消費者に誤認を与えたり、不当な競争を招くおそれのある表示を禁止し、また業界の自主的ルールを設定させ、景品表示法にもとづいて認定し、これが法的拘束力を持つように配慮されています。
      食品缶詰の表示に関する公正競争規約では、各種の法律に基づく表示基準を網羅して規定してあり、更に施行規則により、品目ごとの具体的な表示基準を定めています。

  • 07. フタに書いてある記号の読み方は?
    • 缶詰のふたには名称(品名)、賞味期限年月(日)及び工場名をそれぞれ表す記号を3段に組み合わせて示してあります。ただ、最近では品名と工場記号は別に表示しているために缶ぶたへの記載を行わず、賞味期限年月(日)のみを表示した製品が多くなっています。
      3段に組み合わせて表示した場合の例は右のとおりになります。

      ▼ 絵の最上段は品名記号で、はじめの2文字が原料の種類、3字目が調理方法、4字目が形状・大きさをそれぞれ表します。これらの記号は、英名等の頭文字をとったものもありますが、大部分は単なる記号であって特に意味はありません。原料の種類と調理方法について知るには、缶胴もしくはラベルに邦文で印刷されている名称と原材料名をご覧ください。ただし、果実缶詰及び野菜缶詰のうち、内容物の大きさや個数を表示する必要のあるものは、それを表す記号のみを表示し、その記号の説明を缶胴の一括表示欄に印刷して、商品の選択に利用できるようにしています。

      ▼ 賞味期限年月(日)の記号は、中段に数字で示しています。
      はじめの2文字は年で、西暦年号下2ケタの数字で表し、3字目及び4字目は月で1~9月は01~09、10、11、12月はそのままの数字で示します。5字目及び6字目は日で1~9は01~09、10日以降はそのままの数字で示します。
      したがって、上にイラストで示した賞味期限の例は、2017年10月10日となり、この日付までおいしく食べられることを表しています。
      なお、最近は印刷技術の発達により「2017.10.10」と日付を分かりやすく表示する商品が増えてきています。また、長期間の保存が可能な缶詰の賞味期限表示は「年月」までが義務付けられており、「日」は表示してもしなくともよいことになっています。法律的にはこのようになっていますが、多くの缶詰は「年月日」まで表示されています。

      ▼ 製造工場記号は絵のように最下段に示します。この記号は、厚生労働省に届出てあるもので、必要なときにどこの工場で作られたものか分かるようになっています。しかし、缶胴には必ず製造業者または販売業者の名称と所在地が表示してあり、これら表示業者がその製品について責任をもって対応しますので、個別の工場記号について特に知る必要はありません。

  • 08. 表示について特に注意することは何ですか?
  • 09. 遺伝子組換えの表示はされていますか?
    • 缶詰、びん詰、レトルト食品では、遺伝子組換え対象農産物として大豆、とうもろこし及びばれいしょを主な原材料に使用した製品の表示は、原材料名のあとに括弧をつけて次のように表示することが決められています。原材料の分別生産流通管理が行われたものは、分別されたうちのどちらが使われたかにより「遺伝子組換え」または「遺伝子組換えでない」、分別されていない対象農産物の場合は「遺伝子組換え不分別」と表示します。また、遺伝子組換えでない原材料を使用している場合は「遺伝子組換えでない」等の表示は任意となっており省略することが出来ます。

  • 10. アレルギー物質の表示はされていますか?
    • アレルギー物質を含む食品について、特定のアレルギー体質を持つ方々の健康危害の発生を防止するという観点から、それらを原料にしている加工食品は、一括表示欄の「原材料名」欄に使用したその原料を明記することが決められています。これは、缶詰、びん詰、レトルト食品においても例外ではありません。アレルギー物質を含む食品として特定されているものは、卵、小麦、そば、落花生、乳、えび、かにの7品目となっています。これらが原因となるアレルギーの発症数は多く、その症状も特に重篤であることから、この7品目を原材料に含む加工食品は必ず表示を行うこととなります。また、食物アレルギーに関する研究から、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの20品目を含む加工食品についても可能な限り表示をすることが望ましいとされています。

  • 11. 輸入品にも賞味期限は表示されていますか?
  • 12. 「レトルト食品」と表示されていないが常温で保存できますか?
    • レトルト食品には、プラスチック・フィルムを貼り合わせただけの透明容器入りのものと、アルミはくなどとプラスチック・フィルムを貼り合わせた不透明容器入りのものとがあります。両方とも缶詰と同じように高温で加熱殺菌した製品には、食品衛生法に基づいて必ず「殺菌方法;気密性容器に密封し、加圧加熱殺菌」といった表示が義務づけられており、常温で流通、保存できます。これ以外の商品は、表示に従って保存して下さい。

  • 13. 原産国の表示がないがどこで作られたものですか?
    • 海外で製造され、日本に輸入された製品には、食品衛生法、品質表示基準や食品缶詰の表示に関する公正競争規約などにもとづいて、必ずその製品を作った国の名前(原産国名)を記載することが義務付けられています。したがって、原産国名が書いていない製品はすべて国産品になります。これは、缶詰を含む加工食品全般にいえることですが、最終的な加工を施した国が原産国になるということが食品衛生法によって定められています。原料が外国産でも日本国内で製造された缶詰、びん詰、レトルト食品は国産品となるということです。

      これに関連して、加工食品の原料原産地表示があります。現在、JAS法の品質表示基準によって生鮮食品に近い20の加工食品群について原料の原産地を表示することが義務づけられています。これらは乾燥したりゆでた農産物や調味したり表面をあぶった肉や魚介類、緑茶、もちなどが対象となります。缶詰、びん詰、レトルト食品では農産物の漬物、透明容器に入った水煮製品、うなぎ加工品の他、緑茶飲料が対象となります。

  • 14. 栄養成分の表示はされていますか?
    • 健康増進法に規定されている「栄養表示基準制度」では、特定の栄養成分を強調して表示する場合は、それ以外に「熱量」、「たんぱく質」、「脂質」、「炭水化物」、「ナトリウム」の5つについても表示するようになっています。また、表示を望む消費者の声が高まっていることに応えて、強調表示がされていなくても栄養成分を表示する製品が増えています。

      表示されている成分含有量は、賞味期限まで保たれます。しかし、缶詰、びん詰、レトルト食品の場合は主原料のほとんどが天然物を用いていますので、水産物や農産物の漁獲・収穫される場所、時期によって成分含有量の異なるものが多くなります。したがって成分表示が難しい品目もあり、製品によっては表示されていないものもあります。また、表示されている場合は、上記の理由により成分含有量に幅を持たせて表記しているものもあります。

      ちなみに、収穫時期や場所による主原料の個体差については、栄養成分の他にも、例えば果物などの農産物ではかたさや色合いなどに違いが現れる場合もあります。

  • 15. 「ナトリウム量」と「食塩相当量」はどう違うのですか?

品質

  • 16. 缶のにおいが気になるが除くことはできますか?
    • 缶臭とは容器に由来する特徴的な金属臭のことをいいます。果実や野菜缶詰など缶内面無塗装缶で製造後長期になると強く感じられることから、缶の素材、特に鉄に含まれる微量成分が関与しているとされます。現在、多くの製品には缶内面を塗装した缶を使っていますので缶臭も少なくなっています。また、においに関与する成分は揮発しやすい性質を持っていますので、中身を他の容器に移して軽く熱をかければ感じなくなってしまいます。

  • 17. 原料はいつも生鮮のものが使われているのですか?
    • 缶詰の原料は、出回りの最も多い、すなわち旬に当る時期の味のよいものが使われるのが一般的です。しかし、近年は冷凍技術が進歩したので、魚や肉はいうまでもなく、ジャム原料のいちごなども冷凍原料が多く使われるようになりました。これらの冷凍原料は原料産地において生鮮原料の出回り時期(旬)に製造されるので、冷凍後の保管条件や解凍方法が適正であれば、生鮮原料とほとんど同じ条件とみてよいでしょう。

      なお、果汁原料についても、搾汁した原果汁をそのまま、あるいは濃縮果汁として冷蔵し、年間を通じて、ジュースやネクターの製品が作られています。

  • 18. 果物の缶詰の甘味度について教えてください
    • 果実缶詰の甘味度は、果実本来の糖度9~11%に比べればいくらか甘く感じます。これらの果実缶詰の糖度は、JASにきめられていますが、果実に含まれる酸の多少により、甘味も違ってきますので、缶詰の甘味度は、糖度だけで一概にきめることはできません。農産物缶詰・びん詰の品質表示基準で、製品の糖度は、10%以上14%未満のものを、エキストラライト・シラップ、14%以上18%未満のものをライト・シラップ、18%以上22%未満のものをヘビー・シラップ、22%以上のものをエキストラヘビー・シラップといい、一般にみかん缶詰は14%(ライト・シラップ)、もも及びパインアップルの缶詰はそれぞれ18%(ヘビー・シラップ)を基準として作られています。

  • 19. 魚貝類の水煮や油漬の塩分濃度はどのくらいですか?
  • 20. 加熱殺菌により、栄養素は失われますか?
    • 缶詰、びん詰やレトルト食品は、果実などの酸性食品を除いて、ふつう110~120℃の高温で加熱殺菌されるので、生鮮食品や家庭で調理した食品に比べて、栄養価が劣ると考えられがちです。

      しかし、缶詰は、大量に出回る時期(旬)の新鮮な原料を使って、高い真空下で空気をしゃ断した状態で加熱殺菌が行われるので、家庭で調理されたものより、むしろ栄養価が高いといえます。

      まず、ビタミン類についてみると、一般的にA、D、Eは水に溶けないので、原料の調理(剥皮、切断、湯煮など)により、ほとんど損失することはなく、加熱殺菌に対して安定でこわれません。ビタミンB1、B2、Cは水にも溶けやすく、B1とCは比較的酸化されやすく、調理によってある程度減ったり、こわれたりします。加熱殺菌に対しては、B1はpHの高い魚、食肉、野菜などの場合、不安定でこわれやすく、B2は比較的安定しています。Cは缶詰のように空気に触れない状態で加熱された場合はかなり安定です。

      なお、調理の工程で、湯煮はできるだけ短時間に行ったり、蒸気で蒸す方法に変えることによって、ビタミン類の減少を少なくする方法がとられています。

      いま、野菜缶詰に例をとって、ビタミン類の残存量 注)についてみると、原料の種類、調理の方法、加熱殺菌の条件によって一概にはいえませんが、Aは80~100%、B1は20~50%、B2は60~90%、Cは50~80%とみてさしつかえありません。また、加熱殺菌により、たん白質、脂肪、糖質などの栄養素は、減少することはありません。

      注) 缶詰はふつう液汁が加えられているので、液の中に含まれる水溶性のビタミン(B1、B2、C)を計算に入れた場合の残存率を示しました。

  • 21. なぜ魚類缶詰にはカルシウムが豊富なのですか?
    • 日本人の栄養摂取量についてみますと、カルシウムが不足しているといわれています。また、食品中に含まれるカルシウムとリンの比率は、1:0.5~2が良いとされています。さけ、いわし、さばなどの缶詰は、加圧加熱殺菌により、骨まで軟らかくなっていて、カルシウム分は吸収されやすい形で含まれています。そして製品の分析結果からみても、カルシウムとリンの比率は1:1~1.8を示しているので、魚類缶詰は、貴重なたん白質を含んでいるばかりでなく、カルシウムの補給の点からも、優れた栄養価をもつものといえるでしょう。

  • 22. 魚類缶詰に豊富なEPAとDHAとは何ですか?
    • いわし、さば、さんま、まぐろなど青魚に多く含まれる脂肪酸、EPAとDHAが、近年、脚光をあびています。

      EPAは、エイコサペンタエン酸の略で、n-3系多価不飽和脂肪酸の一種です。血小板の凝集を抑え、血液をサラサラにして血栓による病気を予防するほか、血中の脂肪、コレステロール濃度を下げることで健康に良いとされています。

      DHAは、ドコサヘキサエン酸の略で、EPAと同じn-3系多価不飽和脂肪酸の一種です。脳の働きを良くし、頭に良い成分として注目されましたが、脳・神経の発達にとって必須成分と考えられています。そのほか、網膜反射機能の向上、制ガン作用、抗アレルギー作用などいろいろな生理作用が注目されています。

      EPAとDHAは、生鮮品と同様に、いわし、さば、さんま、まぐろといった青魚などの缶詰にも多く含まれており、良い供給源であるといえます。

  • 23. かに缶やさけ缶にガラス状の結晶を見つけましたがこれは何ですか?
    • かにやさけの原料肉の中に自然に含まれている、微量のマグネシウム、アンモニウム及びリン酸が結合して、リン酸アンモニウムマグネシウムという、ガラス状の結晶が生成する場合があります。

      この結晶は無味・無臭の結晶で、ストラバイト又はクリスタルともいわれています。この結晶は、胃の中で容易に溶けるので、食品衛生法上の問題はありませんが、大きいものは、口腔を怪我させる可能性もあるので、製造方法の改良により、結晶の生成を防いだり、結晶を出来るだけ小さくするよう努めています。

      ストラバイトの生成を防ぐため、かに缶詰では少量のクエン酸を加えたり、さけ缶詰では結晶が大きくなる温度帯である30~50℃を早く通過させる急速冷却を行ったりしています。

  • 24. かに缶の中に入っている紙は何のためですか?
    • かに缶詰は、中身を硫酸紙で包んであります。この紙は硫酸紙またはパーチメント紙といいます。硫酸紙といっても製紙工程で硫酸を使うという意味で、実際に硫酸を含むわけではありません。

      かにの肉は、たん白質の中に硫黄分を含んだ成分が比較的多く含まれているので、容器の鉄分と結合して硫化鉄が生成し、部分的に黒い斑点ができることがあります。これを防ぐため缶の内面を塗装し、さらに硫酸紙で包んであるのです。

      このような黒変は、かに以外のえび、ほたてなど魚貝類缶詰でもみられることがありますが、衛生上全く問題はありません。

      このほか、かに缶詰の中に、肉が部分的に青く変色したものが時にみられます。これはかに肉の血液中に含まれるヘモシアニンという色素がその要因の一つとされており、原料肉の洗じょうによる血液の除去が不十分な場合に起こりやすいとされていますが、これも衛生上問題はありません。

  • 25. みかん缶やたけのこ缶の汁が白く濁っているが大丈夫ですか?
    • みかんにはヘスペリジンという物質が含まれており、これが果肉からシラップへ移って微細な結晶となり、白く濁ってきます。ヘスペリジン(配糖体)はビタミンPの母体であり、衛生上は全く問題はありません。しかし、白濁の程度が強いと見た感じがよくないので、ヘスペリジナーゼという酵素で処理することによって、白濁を防ぐことができます。

      たけのこ缶詰には、チロシン(アミノ酸の一種)を主成分とする白濁が見られます。

      これらは天然成分ですから、食用として一向にさしつかえありません。

  • 26. みかん缶は皮をどうやってむいているのですか?
    • 缶詰のみかんの皮は、剥皮(はくひ)装置により自動的に、むいています。みかんの外果皮の剥皮は、皮がむけやすいようにスコルダー(湯煮機)を通し、そのあと、外果皮に切り口を付け、ローラー巻き込みにより剥皮します。

      みかんの身割りは、水中でゴム製など弾性材のさくの間を通して、ばらばらに分割します。

      みかんの内果皮は、酸・アルカリ処理によってむきます。すなわち希塩酸溶液(約0.5%)と希水酸化ナトリウム溶液(約0.3%)の微温液で、それぞれ20~40分程度処理したあと、水洗水さらしを50~60分行うことによって、内果皮がむけます。なお、処理に用いる酸・アルカリは食品衛生法において、食品添加物に指定されている純度の高いものであり、水洗により製品には全く移行、残存しないことも条件とされています。

  • 27. もも缶で果肉が部分的に紫色になっているが大丈夫ですか?
    • ももには、種子の周囲や果実の表面が部分的に赤色を帯びたものがありますが、これはももに含まれるアントシアンという色素によるものです。この色素は、缶容器のスズと結合して紫色に変化します。原料の着色程度の軽いものを使えば、缶詰に製造してから1、2ヶ月の間に消えてしまいますが、着色の強いものを使うと、紫色に変化して商品価値が著しく落ちます。しかし、このように変色したものでも、衛生上はなんら問題はありません。

      最近、栽培農家の人手不足から無袋栽培が増えており、着色果が多くなっていますが、加工用には着色の程度の少ないものを特に選ぶようにしています。なお、変色を防止する目的でビタミンCを添加することもあります。

  • 28. 開けると表面がゼリー状になっていたり、白い斑点状のものが見られるが大丈夫ですか?
    • 魚類や肉類の缶詰で冬場や低温に置いておくと見られる現象です。ゼリー状になるのは原料に含まれるタンパク質の一種であるコラーゲンが加熱によって溶け出し、ゼラチンになって低温で固まったもので、いわゆる「にこごり」と同じものです。白い斑点状の成分は原料に含まれる脂肪で、これも低温によって結晶化したものです。いずれも原料に由来する天然成分で衛生上の問題はまったくありません。

      適度に加温すればどちらも溶解して普通に召し上がることができます。

      また、サケやサバなどの水産缶詰で豆腐のような柔らかい白いものが表面についていたり浮遊していることがあります。これはカードと呼ばれるもので、魚肉に含まれる水溶性のタンパク質が加熱によって凝固したものです。見た目は悪いですが、衛生的にはなんら問題はありません。

  • 29. あさり水煮缶で身と液汁が緑っぽいが大丈夫ですか?
    • あさりは3~6月にかけて漁獲されたものが最も肉質や香味がよいとされています。ただ、初期の3~4月には餌となるプランクトン(藻類)に由来する緑色が強くなる時期でもあり、このプランクトンを食べたあさりの内臓部に緑変がみられるようになります。このあさりを原料として缶詰にした場合、あさりの身のほか、液汁まで緑がかることがあります(この現象はグリーンフィードと呼ばれています)。このように、グリーンフィードは季節による自然な現象であり、食品の安全上の問題はありません。しかし、これは製品としては見た目がよくないため、漁獲時期をずらしたり、産地を変更するなどの対応を行っています。

  • 30. うずら卵水煮缶で液面に油が浮いているが大丈夫ですか?
    • 原料となるうずら卵の卵黄には脂肪分が多く含まれていますが、卵表面についた小さな傷からその卵黄の脂肪分が溶け出し液汁表面に浮く場合があります。製造から年月が経過するほど油成分が出やすくなる傾向がありますが、品質上の問題はありません。

  • 31. パイン缶で果肉が褐変しているが食べても大丈夫ですか?
    • パインアップル缶詰でまれに見られる「ピンク病」という現象です。これは原料のパインアップルに、ある種の微生物が付着し、原料に含まれる糖が分解されて「αケト酸」という生成物が蓄積され、アミノ酸やタンパク質と一緒に加熱すると褐色の色素が生成されるためであるとされています。生の果実の状態ではわからず、加熱殺菌して初めて変色が明らかになります。これに関与する微生物、化合物、色素などどれも衛生的に問題はなく、パインアップルは食べても大丈夫ですが、色が変化するため商品価値は著しく損なわれることになります。

  • 32. 食肉の缶詰で肉の中が赤いことがあるが火が十分に通っていないのでしょうか?
    • 食肉の赤色はミオグロビンという色素によるものですが、この色素は加熱すると褐色に変化します。
      家庭での調理とは異なり、食肉加工製品ではその製造工程中に熟成と味付けを目的とした塩漬という工程があります。この工程でミオグロビンは酸化窒素と結びついて熱に対して安定な赤色色素になり、十分な加熱殺菌を行ったとしても赤色が保たれます。
      これは、ハムやソーセージにおける赤色の色調と同様のもので安全性や衛生上の問題は全くありません。

  • 33. マッシュルーム缶やレトルトで傘のうらが黒いものがあるが大丈夫ですか?
    • マッシュルームの傘のうら(菌褶(きんしゅう)=ひだの部分)が黒変しているものは、マッシュルーム特有の成熟過程にある通常の状態です。この色の変化は胞子によるもので、胞子は未熟の時は白色ですが、成熟が進むにつれ黒褐紫色を呈し傘が開いて参ります。したがって、加熱殺菌の影響や保存中の品質の変化(腐敗や変敗)を受けたものではありませんので安心してお使いください。料理によっては外観を損ねることはありますが、香味が強くなるため海外ではむしろ好んで使われることもあります。また、傘が開くことで、丸いイメージとは異なった形状のものがみられることがありますが、これも品質にはなんら問題はありません。

安全性

  • 34. 缶詰は変敗するとどうなるのですか?
    • 缶詰の微生物による変敗には、(1)熱に強い細菌が缶の中で生き残り、中身を腐敗させてガスを出すもの、(2)熱にあまり強くない細菌、酵母などによって、中身を腐敗・発酵させてガスを出すもの、(3)熱に強い細菌が、中身を腐敗させて酸を出すものがあります。大きな特徴は(1)と(2)の場合はガスによって缶が膨らむ(膨脹)ことで、(3)は膨らみませんが、いずれも開けると不快な臭いや味がすることがあります。

      膨脹の程度は、軽く膨らんだ一方のふたを押すと凹んでもう片面が膨らむ様なものから、強く膨れて押しても凹まないものがあります。缶が膨らむ原因には、(1)と(2)の微生物的な原因以外にも化学的な原因による場合もあります。これらのすべてが危険とはいえませんが、万一の場合を考えて膨らんだ缶詰は利用しないようにしてください。

      しかし、缶詰は微生物の殺菌について科学的基礎に基づき細心の注意を払って製造していますので、このような製品が市販されることはまずありません。安心してご利用下さい。

  • 35. 果物缶にはスズが使われていると聞いたが安全ですか?
    • 果実缶詰や一部の野菜缶詰は、国際的に缶内面を塗装していないブリキ缶(スチールにスズメッキをしたもの)が使われています。その理由は、缶詰を貯蔵している間に、果実や野菜に含まれている空気により微量のスズが溶け出ることによって、内容物の色や香りなどの品質が変化するのを防ぐことができるためです。

      溶け出た微量のスズは、人体に蓄積しないで、排泄されてしまうことがわかっています。このようにスズは食品衛生上安全であることから、世界中で伝統的にこれらの缶詰には内面に塗装を施していないブリキ缶が使われてきているわけです。

  • 36. さびた缶詰や凹んだ缶詰は大丈夫ですか?
  • 37. 缶の内面塗装には何が使われていますか?
    • 缶の内面塗装は、貯蔵中の色や味の変化及び缶の腐食を防ぐために、それぞれの内容物に適合したものが使われています。これらには内容物に応じて様々な塗料が使用されていますが、最近ではポリエステルフィルムをラミネートしたものも使われるようになっています。

      これらの塗料やフィルムは、食品衛生法に基づく器具及び容器包装の規格・基準により定められた材質試験ならびに溶出試験による規格値に十分適合したものを使用しています。

      また、このように内面塗装をほどこした缶詰は、缶内の食品と容器の金属が直接接触したり、金属が食品中に溶け出したりすることはありません。

  • 38. 開缶後はなぜ他の容器に移した方が良いのですか?
    • ふたを開けてしまうと、外から微生物などが入るために、中身の種類によって腐りやすくなります。従って、できるだけ早目に食べることが望ましいわけです。最近は、ニーズに応じ容量の少ない小型缶が多く出回っていますので、なるべく全部使いきれる缶を選びたいものです。

      しかし使い残した場合、果実のような内面を塗装していないブリキ缶に詰めたものは、開けてから缶のまま置くと、空気に触れてスズが溶けやすくなるので、必ずガラスや陶器、又はプラスチック等の容器に入れ替えて冷蔵庫に入れます。

      魚類や野菜なども同様にできるだけ別の容器に移した方がよいわけですが、塗装した缶の場合は、そのまま冷蔵庫へ入れておいてもさしつかえありません。しかし、冷蔵庫に入れても、保存は2~3日程度であり、もし、もう少し長く保存しようとするときは、軽く火を通しておく必要があります。

  • 39. 缶切りのくずは大丈夫ですか?
    • 缶切りは、その形式・構造により、切りくずの缶内への落下量、切りやすさ、切り口の形状などにかなり差異がみられます。昭和49年に行った、市販の缶切りについての調査によれば、1缶当たりの切りくずの発生量は0.01~0.9mg平均0.2mgであり、その約40%は、0.1mg(化学天秤による秤量限界)以下であることがわかりました。

      切りくずを動物に与えた場合、なんらかの障害を発生するかどうかについては、わが国では白ねずみに20mg(約100缶分)の切りくずを2日間与えた試験、米国では犬に毎日50及び500mgの切りくずを2ヶ月間連続して与えた試験がそれぞれ行われました。いずれも消化器官になんら障害を与えなかったこと、従って発育に異常を認めなかったことが明らかにされています。

      昭和50年から缶切りについて、消費生活用製品安全法にもとづくSGマークの表示制度が適用され、材質、性能、切りくずの発生量などの基準に合格したものにマークが表示されるようになりました。

      缶切りを使用する上で必要な事項は、(1)材質が良く、切りくずが少く、切りやすいものを選ぶ、(2)使用の都度洗って、きれいに拭いて置く、(3)さびたり、刃の欠けたものは使わない、(4)小型缶には刃の小さいものを選ぶ、などです。

      なお市販の缶切りの中で、切りくずが少なく、切りやすい点からみて、蝶型のテコ押切り型と円盤刃ロール型が一般的に性能が良く、また、切りくずが缶の中へ全く落ちないものに、特殊ロール型があります。

  • 40. さくらんぼやグリンピースにはどんな色素が使われていますか?
    • さくらんぼ缶詰の着色には赤色104号(フロキシン)が使われていましたが、最近、天然色素も使われるようになりました。

      グリンピース缶詰には黄色4号(タートラジン)と青色1号(ブリリアント・ブルーFCF)の混合色素が使われています。

      赤色104号、黄色4号及び青色1号は、国際食品規格委員会で安全性が認められており、諸外国でも広く使われています。

  • 41. コンビーフの発色剤には何が使われていますか?
    • コンビーフ缶詰など食肉製品には、加熱しても肉の赤色を保つよう亜硝酸ナトリウムや硝酸ナトリウムなどを発色剤として使用しています。食品中で残存する量は食品衛生法で亜硝酸根(亜硝酸塩)として70ppm以下になるよう規定されていますが、現在市場に出ている製品に関してはその1/14から1/5と微量です。亜硝酸塩が胃の中でアミン類と反応してニトロソアミンを生成し、これが発ガン性があるという議論がありますが、前述のような微量の亜硝酸塩で実際にそのようなリスクがあることは確認されていません。また最近、米国で行われた長期動物実験の結果では、亜硝酸塩には発ガン性や遺伝的毒性は無かったと報告されています。

  • 42. 魚類に含まれる微量水銀について教えてください
    • 魚類のうち、大型回遊魚には水銀、とくにメチル水銀が含まれていることが問題になっています。しかしこれは産業排水などの海の汚染によるものではなく、火山など自然活動で海水中にある微量の水銀が、食物連鎖(小さな魚を大きな魚が食べ、またより大きな魚がそれを食べる)によって魚の体内に入って蓄積されたものです。したがって大きな魚は小さな魚よりも水銀量が多くなります。

      世界的にも長寿国である日本では、昔から魚を多く食べてきました。いろいろな魚をバランス良く食べることは安全であるばかりか、栄養的にも好ましいとされています。

      最近、水銀を多く含む魚をたくさん食べると、胎児では神経の発達に悪影響を及ぼす可能性が心配されています。どれだけお母さんが魚を食べるとお腹の赤ちゃんに影響がでるのか、世界的な調査でもはっきりとした結論は出ていません。しかし、生まれる赤ちゃんの健康を最優先に考え、妊娠中のお母さんについては特別注意を呼びかけるという動きが世界各国で見られます。アメリカ、イギリス、ヨーロッパ各国の政府機関、そして日本でも厚生労働省がその呼びかけを行っています。

      日本の場合、妊娠中のお母さんに対して具体的に魚種名が示されているのは、バンドウイルカ、コビレゴンドウ、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ、キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツなどについてで、1週間に何回以下にするのが望ましいという摂取量の目安を示しています。これ以外の魚やツナ缶詰はふつうの食事でとる限り問題にならないとされています。※

      魚介類やその缶詰製品は、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど良質な栄養素を持つばかりでなく、高度不飽和脂肪酸(EPA、DHA)など機能性成分を多く含んでおり、健康的な食生活にとって欠くことのできないものです。

      さらに日本の缶詰製造各社は、製品中の微量水銀量を自主的に検査して安全性を確認しています。これまでどおり安心してお召し上がり下さい。

      厚生労働省ウェブサイト、「魚介類に含まれる水銀について」をご参照ください。

  • 43. レトルト食品のフィルムは安全ですか?
    • 食品に直接触れる内側のフィルムは、現在、食品包装用に広く使われている、ポリエチレン又はポリプロピレンですが、国際的にも安全性が高いとされています。

      フィルムについては、食品衛生法に基づく器具及び容器包装の規格基準で定められた衛生試験法による材質試験ならびに溶出試験に十分適合したものが使用されています。

  • 44. レトルト食品の袋は輸送中に破れたりしませんか?
    • 食品衛生法に基づく器具及び容器包装の規格基準によって、袋の密封部分のシール強度、耐圧縮強度、落下強度が規定されており、通常の輸送・保管には十分耐え得るような性能をもっています。例えば、耐圧縮強度についてみると、袋に静圧荷重を加えた場合、通常200~250kgの圧力に耐えることができます。ただし、規格基準では、小売用で重さが100~400gの製品には、実用上十分と考えられる40kgの値がきめられています。

  • 45. 病原性大腸菌O157やアニサキスなどの寄生虫が心配ですが大丈夫ですか?
    • 病原性大腸菌O157による食中毒事故多発により、再び食品の安全性確保が注目されています。

      一般に、病原性大腸菌は70℃でわずか1分の加熱でも死滅することがわかっています。これに対し缶詰、びん詰、レトルト食品は100℃以上(果実シラップ漬缶詰でも80℃以上)で少なくとも10分以上の加熱殺菌が施されていますので、病原性大腸菌O157が生き残る可能性はありません。したがって、科学的見地から見ても缶詰、びん詰、レトルト食品は病原性大腸菌とは無縁で、極めて安全な食品であるといえます。

      アニサキスなどの寄生虫について

      サバ、マグロ、イカ、サケ、サンマなどの水産物にはアニサキスなどの寄生虫が存在している可能性があり、喫食に伴って生きた寄生虫が体内に入ると強い腹痛を起こす原因になります。しかし、寄生虫は加熱もしくは冷凍によって死滅するので、これらの処理をした原料は寄生虫に対して安全になります。寄生虫が死滅するのは60℃で1分、70℃では瞬時とされており、缶詰、びん詰、レトルト食品ではこれ以上の温度で加熱殺菌が施されているため、寄生虫による心配はありません。

  • 46. 環境ホルモンが心配ですが大丈夫ですか?
  • 47. 原料農産物の残留農薬が心配ですが大丈夫ですか?
    • 缶詰、びん詰、レトルト食品の原材料に使用される生鮮農産物の残留農薬については、食品衛生法で最大残留基準値が定められており、基準値を超える農薬が含まれている農産物は使用が禁止されています。また、缶詰、びん詰、レトルト食品を製造する際には、原料は必要に応じて清水で洗浄したり、皮をむいたりしているため、残留農薬の心配はありません。

保存性

  • 48. 缶詰、レトルト食品の保存性について教えてください
  • 49. びん詰の保存性について教えてください
  • 50. 保管するにはどんな場所がよいですか?
  • 51. 賞味期限が切れた缶詰やびん詰、レトルト食品は食べられますか?
    • 缶詰の大きな特徴の一つとして、製造してから常温でおよそ3年間の長期にわたり保存できることがあげられます。缶のふたには賞味期限を示す日付が表示され、その日付までは「おいしく食べられる」ことをメーカーが保証しています。これは、びん詰やレトルト食品についても同様で、それぞれ半年から1年程度、1年から3年程度の賞味期間を持っています。

      しかし、缶詰、びん詰、レトルト食品は賞味期限の日付が経過したからといってすぐに食べられなくなってしまうことはありません。缶詰、びん詰、レトルト食品は密封の後、その主要な製造工程である加熱殺菌により食品の腐敗の原因となる微生物を殺滅しています。このため保管中に新たな微生物が侵入しないかぎり、賞味期限の経過後についても開封しなければ中身が腐ることなく長期間の保存ができます。ただし、「おいしさ」という観点からは、これを保証する賞味期限からの経過期間が長くなるほど期待は薄くなりますが、上記の理由により賞味期限を過ぎた後も食品としての安全性や衛生面については問題ありません。

      一方、缶詰、びん詰、レトルト食品の保存に不適切な環境、例えば高温多湿な場所での長期保存は品質の低下をまねきやすく、場合によっては食品としての安全性が損なわれることがありますので、賞味期限を過ぎたものについては、次の点を確認してください(いずれも未開封での確認事項です)。(1)缶詰の場合は缶がさび付いていないか(缶自体が腐食して穴(ピンホール)があき、そこから空気や水分とともに微生物が侵入している場合が考えられます)、(2)ふたや容器が膨らんでいないか((1)などの理由により微生物の汚染を受けるとガスの発生により容器が膨脹することがあります。また、缶詰では缶内面の腐食により水素の発生を伴って膨脹する場合もあります)、(3)ふたを指で押すとペコペコとへこまないか(上記(2)と同様の理由)。

      万が一、保存していた缶詰、びん詰、レトルト食品に以上のような状態が見られた場合は十分ご注意の上廃棄してください。また、微生物によって汚染を受けた缶詰は開けると腐敗臭がします。

      正常な缶詰、びん詰は、真空に近い状態を保持していますのでふたはややくぼみ気味で、指で押しても硬いものです。異常を見分けるには、上記のように「さび」や「ふたの膨脹」といった、外観の変化に注意してください。

      缶詰、びん詰、レトルト食品を上手に保存するには、直射日光のあたる場所や湿気のこもりがちな場所を避け、温度変化の比較的少ない場所を選ぶことをお勧めします。

      膨脹した缶詰の廃棄方法
      膨脹した缶詰は、そのままにしておきますとガス(水素)により缶内の圧力が高まりやがて破裂します。こうなりますと、思わぬけがをしたり、保管場所を傷つけたり汚したりすることとなりますので、見つけたら早めに処分してください。 処分の際は、缶詰のふたを開けてガスを放出させてください。特にイージーオープン(EO)ふたの場合は、膨脹の程度にもよりますが、少しの衝撃を与えても破裂する場合がありますので慎重に行ってください。

      手順といたしましては、ビニール袋などをかぶせて(包んで)から作業しやすい場所に移動しましょう。汚れても良いものであれば雑巾などをかぶせても構いません。そして、開けた時に中身が飛び散ることがありますので、ビニール袋や雑巾をかぶせたままプルタブを起こしてガスを抜きます。ガスが抜けるともう破裂の心配はありませんので、開缶して中身と缶容器を廃棄してください。 缶切りを使って開けるタイプのふたは、上記と同様に保護した後に缶切りなどで一度穴をあけてガスを抜いてください。その後分別して廃棄ください。

  • 67. 缶詰を暑い場所に放置してしまったのですが大丈夫でしょうか。
    • 缶詰、びん詰、レトルト食品の製造工程の特徴として、食品の安全を長期間保持させるために「密封して高温での加熱殺菌」が行われています。このため、夏場に気温が高くなるような場所に製品を置いてしまっても3日程度であれば、品質に大きな影響を与えたりすることはありません。このような状況が長期間にわたると味・香り・色などの「おいしさ」を示すものが早く劣化しますので、ご注意ください。また、温度が高くなった缶詰を常温に戻しても容器が膨脹している場合には使用せずに廃棄してください。

      参考までに、缶詰を夏場の屋外に放置した場合の温度変化をみてみましょう。晴天日の屋外(屋上床)に缶詰を「そのままの状態」、「段ボール箱に入れた状態」でそれぞれ放置したところ、そのままの状態の缶詰は約1~2時間で42~43℃程度(屋上床付近の温度は45℃を示した。)まで上昇しました。一方で、段ボール箱に入れた状態の缶詰はそのままの状態の缶詰よりも温度はゆっくりと上昇し3~5℃程度低くなっていました。夏場の屋外に缶詰を放置してしまうと高い温度になることに変わりありませんが、直射日光があたると短時間でより高い温度になります。夏場に限らず直射日光があたるような場所での保管は避けてください。

検査

  • 52. JAS検査はどのように行われていますか?
    • 缶詰にJASマークを付けようとする場合は、まず、工場の施設、機械設備、技術者、品質管理の状況などについて、農林水産省に登録した登録認定機関の審査を受けます。一定の基準に適合しているときは、登録認定機関によりJAS認定工場としての許可を受けることができます。

      JAS認定工場は、製造工程や品質管理体制などの状況からみて、常に製品の品質が安定していて、規格への適合性が確保されていると認められた工場であることから、製品について自らが検査し、合格・不合格の判定を行うことができます。

      検査の手順と項目は、まず、表示された事項を調べ、量目を計り、つぎに外観、色沢、香味、肉質、夾雑物・異物の混入の有無などについて、主として官能による検査が行われます。表示と量目が適正であり、変敗や異物の混入がなく、品質が一定の基準を保持していると認められたときは合格と判定されます。

      なお、果実シラップ漬の糖度、魚や肉の味付の調味液の濃度などについては、糖用屈折計による示度を、ジュースについては、エタノール分、精油分、揮発性酸度、糖度、酸度、ビタミンCなどについて、それぞれ測定し、計量的検査が行われています。

      JAS認定工場の場合は、あらかじめJASマークを印刷してある缶を使って製造することが認められています。

  • 53. 輸入品の検査は行われていますか?
    • 輸入品の検査は輸入港の検疫所で、あらかじめ届出された書類に基づき、食品衛生上問題がないかどうか、正しい表示が行われているかどうかなどについてチェックし、必要に応じて内容物の検査が行われます。

      変質・変敗や食品添加物の使用について、食品衛生法違反の疑いがある場合は、登録検査機関による分析証明書の提出を求めるなど、不良食品の流通を事前に阻止するように努めています。しかし、数多く輸入される缶詰、びん詰について、全面的に検査することは不可能であり、むしろ、輸入業者において万全を期すよう努力されています。

  • 54. 工場の衛生管理は十分行われていますか?
    • 缶詰、びん詰、レトルト食品をはじめとして、各種の加工食品の製造の過程で、有害な物質の混入を防ぎ、安全な食品を生産するために、日本缶詰びん詰レトルト食品協会では缶詰、びん詰、レトルト食品工場向けに、適正食品製造基準、いわゆるGMPを制定して、食品による事故発生の防止に努力しています。また、わが国でも食品衛生法に基づき工場の衛生管理について監視・指導が行われているほか、地方自治体の条例などで、作業場、機械設備、保管倉庫、便所などの施設、原料から製品に至るまでの製造工程などについて、衛生管理の基準や方法について詳しく規定されています。

      最近では製品の安全性を高めるためにHACCP(危害分析重要管理点)方式の衛生管理を実施する工場が増えています。

      日本缶詰びん詰レトルト食品協会では、これらの管理を工場が導入するためにマニュアル(手引書)などを作り、衛生管理の向上を図ることに努めています。

      また、さらに品質や安全性の向上のため、品質管理、巻締、殺菌、HACCPの各主任技術者資格認定制度を設け、1万人近くの方が資格を取得しています。

容器

  • 55. 色々な形の缶があるのはなぜですか?
    • 現在、缶詰に使われている缶型は、円筒型、だ円型、角型などがあります。これらの缶の形は、原料を最も効率よく詰め込むために工夫されてきたものです。例えば、いわしの魚体をうまく詰めるにはだ円型が、サンマの蒲焼には角型が、それぞれ適しているといった具合です。

      ほとんどの製品で使われている円筒型は、缶の表面積が同一の場合、他の型に比べて中身を最も多く詰めることができ、また、製造に際しても能率的であり、製品のコストも安くなるという利点があります。

      缶の大きさは、業務用に使う大型の缶や家族の人数、使い道によって適切な容量のものを選ぶことができるように、大、中、小型のものが作られています。なお、最近の核家族化や、ひとり暮らし世帯の増加傾向に伴って、小型缶(内容量約100グラム)の需要が増えています。

  • 56. あき缶の再利用について教えてください
    • 缶詰の中身を使ったあとのあき缶は一つの資源となるので、その有効利用の方法について色々研究されてきましたが、スチール缶について一応実用化されているものは、(1)くず鉄として使用し、鉄鋼製品に再生する。(2)銅鉱より銅を回収するために利用する。(3)窒素を利用した低温破砕法により再利用する。という三つの方法があります。

      現在、缶詰用及びその他の缶の消費量は、年間スチール缶が約66万トン、アルミ缶が約30万トンですが、鉄鋼製品として再利用されているスチール缶は60万トン、アルミ缶が29万トン程度で、スチール缶は90.8%、アルミ缶は94.7%を回収し、再生されています。再生資源としての利用ルートが確立されているのでこのような高いリサイクル率となっています。

      あき缶は、観光地などの屋外に捨てられるものと、家庭からゴミとして出されるものの二つがあります。あき缶を再利用するためには、できるだけ費用をかけないで能率的に回収することが必要です。すなわち屋外で捨てられるあき缶は、必ず一定の場所のくずかごに入れるようにし、家庭のゴミは、新聞、雑誌、ボロ切れ、あき缶、ビンなどにできるだけこまかく、さらにスチール缶とアルミ缶に分別して出すようにすれば、回収業者の手間や費用が少なくてすみ、資源化ルートに乗りやすくなります。

      なお、現在、あき缶の回収利用や環境美化のために活動している団体には、スチール缶リサイクル協会、アルミ缶リサイクル協会、食品容器環境美化協会及び日本容器包装リサイクル協会等があり、日本缶詰びん詰レトルト食品協会内には環境問題検討委員会が設置されています。

その他

  • 57. 高真空缶詰とは何ですか?
    • 高真空缶詰とは、今までの缶詰とは異なり、液汁を加えないか、あるいは少量のみ加え、高い真空下で密封した後、加熱殺菌を行った製品で、高真空パックとも呼ばれています。

      缶内を高真空(80kPa以上)にすると、注入液や固形物内の水分の沸とう点が下がり、すばやく水蒸気が発生します。その水蒸気により効率的な加熱殺菌が可能となり、良好な品質の製品が製造できます。

      この製品の特徴は、(1)原料のもつ良好な風味や肉質、あるいは栄養成分を保持できること、(2)液汁が少ないため、軽いこと、(3)余分な水分がない方が、その食品の持味を生かせる新しいスタイルの製品開発が可能なこと、などです。

      現在市販されている高真空缶詰は調味液をあまり必要としない、焼魚や焼肉の缶詰、ひじき、うの花味付など、あらかじめ調理されたそうざい類の缶詰や、大豆、スイートコーン等の野菜缶詰などです。

  • 58. 缶詰は生鮮のものと比べてなぜ経済的なのですか?
    • 一例ですが、スイートコーン缶詰450g入りのものには、とうもろこし1.1キログラム、およそ3.5~4本分が使われているので、生鮮のとうもろこしの出回り期と比べても、缶詰は生鮮ものの半値ぐらいで求められます。

      また、さば水煮缶詰220g入りのものには約30cm、350gぐらいのさば1尾分相当の可食部分がはいっています。この缶詰がいつでもどこでも生鮮ものに比べ5~7割の価格で買えるので経済的と言えるでしょう。最近よく消費されるあさり缶詰で固形量105gのものには1,200gの殻付きあさりが用いられていますので、料理法によっては大変安いものとなります。

  • 59. 缶詰、びん詰、レトルト食品はなぜ省エネルギー食品なのですか?
    • 缶詰、びん詰、レトルト食品は製造工程中で食べられない部分はすべて除去してあり、加熱殺菌のため中身は熱の通った状態にあります。従って、家庭ではふたを開けるだけですぐ料理の素材に使うことができます。台所での光熱費や水道料の節約はもとより、料理が短時間ででき、さらに常温流通貯蔵できる点からも省エネルギー食品と言えるでしょう。

  • 60. 賞味期限はどのように決めているのですか?
    • 「賞味期限」は法律では、「定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする」と定義されています。通常、賞味期限を決める際には貯蔵試験を実施し、「色」、「香味」、「栄養成分」などといったそれぞれの製品が持つ品質特性についての検証を科学的に行い、「おいしく食べられる期間」として「賞味期限」を設定しています。

  • 61. 一度温めたレトルト食品は再使用できますか?
    • レトルト食品はパウチ(袋)を密封して加熱殺菌しているので、開封を伴わない湯せんの加温であれば一度温めても水分がとんで煮詰まるようなこともなく、再び冷まして保存もできます。しかし、たび重なる温めなおしは具やソースの品質を低下させ、おいしさを失わせることになりますのでお勧めできません。

      また、最近のレトルト食品には、電子レンジ調理に対応した自動蒸気抜き機能(蒸気口)のついた透明や半透明のパウチが多くなっており、電子レンジを用いて加温調理を行う際には他の容器に移し変える必要がなく非常に便利です。蒸気口付レトルト食品の仕組みは、電子レンジ(または湯せん)調理を行った際、密封されたパウチ内で内容物が加熱されると、パウチに充満した蒸気により生じた圧力で自動的に蒸気口が開いて蒸気が抜けるように設計されています。このため、加温後は開封したものと同じ状態になりますので、蒸気口が付いているレトルト食品を一度電子レンジ調理した場合はその場で必ず使い切るようにしてください。

      一度加温したレトルト食品の再使用については、製品に記載された注意事項を良く見ることが必要です。

  • 62. 缶詰、びん詰、レトルト食品はそのまま食べられますか?汁も使えますか?
  • 63. 新しい技術開発について教えてください
    • 時代は変っても、缶詰、びん詰、レトルト食品は安全であり、かつ衛生的であるという本質的なものは全く変わりませんが、より一層品質の向上や食材としてのバラエティー化をめざして、新しい技術が次々と開発されつつあります。

      そのおもなものとして、高真空缶詰、無菌充填包装食品(食品と容器を別々に殺菌し、無菌の環境下で充填、密封したもので、よりフレッシュに近い品質を保つことができます)、加熱殺菌を緩和した要冷蔵包装食品、利便性が高く環境に配慮した包装容器の開発、マイクロ波や通電による加熱技術、ナノテクノロジーによる新しい製造技術、機能性食品や飲料などの開発が進められています。

  • 64. 使いやすいように工夫されていますか?
    • 公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会では、レトルト食品の利用しやすさ向上のために、業界を挙げて下記の取組みを推進しています。

      (1)ケガ、ヤケドの注意喚起のための下記のピクトグラムを必要に応じてパウチ(袋)や化粧箱へ表示し、使用時のケガ、ヤケドの防止を図ります。

      (2)パウチ(袋)の切り口部分に、下記の開封口識別マークを必要に応じて表示を行い、開封口を分かりやすくします。

      (3)開封時の内容物の飛び散り等を防ぐために、パウチ(袋)に切れやすいフィルム素材(二軸延伸フィルム)の採用や、パウチを切れやすく加工(レーザーカット加工等)するなど、パウチを開封し易くします。

      (4)パウチ(袋)の切口部でのケガを防ぐために、パウチには指に引っかからないように加工(R形状加工、エンボス・針穴加工)された切口部を採用します。

      (5)レトルト食品には保存料は使われていません。安心してご利用いただくため、化粧箱の裏などに下記の内容の表示を行います。
      「この製品は高温で殺菌されているため常温で長期保存することができます。」

  • 66. 「缶詰の日」はいつですか?
    • 「缶詰の日」は10月10日です。

      明治政府は産業振興のため西洋文明を積極的に導入しましたが、この中に、缶詰の製造もありました。内務省は東京に勧業寮新宿試験場を設置し、1874(明治7)年から缶詰の研究に着手しました。

      この頃、北海道開拓使は道内の産業として缶詰をとりあげ、事業化することになりました。このため、東京の新宿試験場に導入する予定だった米国で新たに購入した缶詰製造設備一式は、北海道の缶詰工場で使用することに変更するなど、国をあげての事業の一つになった観もありました。

      北海道開拓使は、1877(明治10)年、札幌市の北、石狩市に、我が国初の缶詰工場、石狩缶詰所を設置し、米国から招いたケプロンの推薦で、技術者U.S.トリートと助手のW.S.スウェットを指導者として、缶詰機械を組立てて据え付け、容器の缶を作り、石狩川で獲れたサケを原料に、缶詰の製造を開始しました。この日が、同年の10月10日です。

      最初の缶詰製造は経験のない人達で行われたこともあって決して満足のできる製品ではなかったようです。しかし、間もなく缶詰生産は軌道に乗り、この年、15,970缶のサケ缶詰が製造されました。そして、立派なレーベルが貼られて、国内博覧会への出品や、翌年には輸出も試みられています。この当時、缶詰のことを、管詰と記しています。

      間もなく、缶詰製造法は全国に伝わり、缶詰工場が設けられ、さまざまな缶詰が製造されはじめられ、輸出も行われています。

      「缶詰の日」10月10日は、このような歴史の記録をもとに、1987(昭和62)年に制定しました。

  • 65. 缶詰を直火で温めても良いですか?
    • 缶詰の容器である金属缶は、密封容器として、保存・流通を目的として設計されており、調理用バーナーや炭火、コンロなどで直火加熱することは想定していないので、絶対に直火にはかけないでください。

      缶詰の内面は、中の食品を保護する目的で金属に塗料やフィルムなどの有機膜で被覆されています。この有機膜は、缶詰の加熱殺菌(一般的に110~120℃で30~90分)中に金属からの脱離や、有害な物質が食品中に溶け出さないように設計されており、直火のような極めて高温で加熱することは想定していません。

      また、缶詰を未開封の状態で加熱した場合は、缶の内圧が異常に上昇して、缶が破裂したり、缶を開けた際に高温になった食品が吹き出す危険性があります。缶詰のまま中の食品を温める場合は、ふたを開けた状態で、湯煎する方法をとってください。

  • 68. びん詰のキャップが開かない場合、どうしたらよいですか?
    • びん詰のキャップが開け難い場合の開け方には、様々な方法があります。まずは湿らせたタオルを被せ、いつものように回してみてください。蓋への力が加わりやすくなるので開けやすくなります。

      もう一つとして温める方法があります。びん詰は品質を守るために脱気されていて、脱気されるとびんとキャップの密着が強くなります。逆さにして50℃程度のお湯にキャップを漬けて温めるとキャップのシーリングコンパウンドが軟らかくなったり、脱気による減圧が低減したりして開けやすくなることがあります。やけどをしないようお湯の温度には十分に気を付けてください。

      それでも開かないときは市販のキャップオープナーなどを使用してください。なお、ガラスびんは割れることもありますので、絶対に無理な力を加えて開けないようにしてください。

      ※キャップとびんを密着させるための樹脂