令和3年度 逸見賞授賞報文

1. 選考期日

2021(令和3年)年9月22日(水)

2. 授賞報文

♢ 逸見賞(1本)

○ 後加熱処理が減圧マイクロ波濃縮トマトピューレの食味および成分に与える影響

岩手大学大学院総合科学研究科 佐々木琴瑞
岩手大学農学部 折笠貴寛・松嶋卯月・小出章二
東北大学大学院農学研究科 加藤一幾
日本食品科学工学会誌Vol.68,No.3 (2021)

選考理由; 本研究は、トマトピューレの濃縮法である減圧マイクロ波加熱(VMW濃縮)と後加熱処理を組み合わせた処理によって食味および成分の変化を評価したものである。
VMW濃縮だけでは食味の低下に課題があったが、後加熱処理を組み合わせることにより、グルタミン酸およびアスパラギン酸の増加し食味の改善が認められた。さらにリコペンがトランス型から抗酸化能が高く体内に吸収しやすいシス型への異性化が起こることが確認され、トマトピューレの高品質化が示唆された。本濃縮方法は現時点では研究段階であるが、今後の実用化に向けさらなる検証が期待される。

♢ 奨励賞(2本)

○ 溶質白肉モモにおける酵素剥皮条件の検討

静岡県農林技術研究所果樹研究センター 橋本 望・村上 覚・山口和希・荒木勇二
農研機構果樹茶業研究部門 佐藤景子
日本食品科学工学会誌Vol.67,No.11 (2020)

選考理由; 果実加工品の製造には剥皮工程が必須であるが、モモは濃度の高いアルカリ液を用いるのが一般的で作業者の安全管理や廃液処理などに問題点がある。本研究は、モモのアルカリ剥皮に代わる方法として酵素剥皮について溶質白肉モモを対象に酵素の種類、処理濃度、処理温度などの条件を検討したものである。
その結果、溶質白肉モモでは供試した酵素剤の中でアクレモセルラーゼKMが最も短時間でかつ果肉を損なうことなく皮を除去することができた。また処理濃度0.25%以上、処理温度26~30℃が適しており、これらを組み合わせることにより2~3時間の短時間で剥皮可能であった。果実加工品は六次産業化などへの適用も多く安全で効率的な剥皮工程への需要も多い。今後は剥皮性の異なる肉質のモモや、他の核果類を対象とした酵素剥皮技術への展開が今後期待される。

○ ワイン酒の受託製造 (カスタム・クラッシュ) 前の輸送中における品質に及ぼす影響    

三幸食品工業株式会社研究開発部 元矢倫子・元矢雅彦・佐藤陽吾
近畿大学名誉教授 野村正人
缶詰時報 Vol.99,No.9 (2020)

選考理由; 近年ワインが健康への寄与効果が着目され我が国でも消費が増大している。これにともない受託製造(カスタム・クラッシュ)が積極的に取り入れられているが、長距離バルク輸送による品質への影響が懸念される。本研究では、ワインを輸送中の環境がワインの味や風味などの品質に与える影響を検討したものである。
その結果、輸送時の振動を再現したワインでは、アルコールやBrixなどの主成分は変化しないものの、振動により遊離型亜硫酸塩量が減少したほか香気成分の変化により香りが低減し官能評価において品質が悪くなったと判定された。一方味わいについては輸送により評価が高くなるものもあり、それぞれのワインに適合した輸送方法を設定することにより高品質のワイン製造が行えることから、今後の展開が期待される。

3. 選考委員名簿(敬称略)

委員長   久田 孝  東京海洋大学 学術研究院教授
委員   竹永 章生 日本大学 生物資源科学部 教授
〃  石原 賢司 (国研)水産研究・教育機構 水産技術研究所 
       環境・応用部門 水産物応用開発部 付加価値向上グループ長
〃  佐藤 一弘 東洋製罐グループホールディングス㈱ 綜合研究所 
      常務執行役員 綜合研究所長
〃  赤地 利幸 大和製罐㈱ 総合研究所 所長
〃  田中 光幸 田中技術士事務所 所長
〃  石川 敦祥 日本缶詰びん詰レトルト食品協会技術委員会 委員長

4. 表彰式

第70回技術大会がオンライン開催のため、今年度は表彰式を執り行わない。

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