(缶詰時報 2004年11月号掲載)

日10月7,8日缶詰生誕200周年を記念して有楽町にある東京国際フォーラムにおいて、缶・びん詰、レトルト食品フェアが開催されました。当日、フェアスタッフとして缶詰生誕200周年記念の試食ブースの担当を務めさせて頂きました。試食ブースというのは、約200年前に考案されたレシピをもとに復元された缶・びん詰食品を試食して頂き、広く知って頂くコーナーです。2日間にわたりコンソメスープ、白いんげん豆のサラダ、ポトフ、イチゴピューレを使ったイチゴミルク、ジュリエンヌ(野菜スープ)などを試食して頂きました。当時の製造方法は素材と水、食塩を用いた単純な調理なので、現代のような濃い味付けもされておらず、物足りなさを感じた方が多かったのですが、素材本来の味が強く残っていてすばらしいものでした。今回復刻された缶詰の原理は今から約200年前の1804年にフランス人のニコラ・アペールによって初めて考案され、彼は当時のフランス政府が賞金をかけて募集した保存性のある軍用食糧の製造方法に応募し、賞金総額12,000フランを獲得しました。その後、フランス軍の保存用食糧として、アペールの開発したびん詰が大いに活用されたとのことです。

当時は密封・加熱による保存性の向上という面では画期的であったのですが、びん詰がゆえに携帯時の破損など不便も多かったようです。缶、レトルトパウチ容器の登場で利便性が高く広く普及しておりますが、殺菌技術が進歩した今でも保存性という問題は大きな課題であるといえます。

ヶ月前、電車に乗っていた時に耳にしたのですが、隣に座っていた御家族連れの子供が初老のお父さんに、「缶詰とかってどうして腐らないの?」と聞いていました。するとお父さんは自慢げに、「防腐剤を使っているんだよ、ビールなんかも保存料とか入れてるんだよな、テレビでみたよ」横に座っていた私は『ちがーう、缶詰は殺菌料、保存料は一切使っていないよ』と電車の真ん中で叫びたくなりました。ぐっとこらえたのと同時に缶詰の安全・安心が理解されず、普及していないということに悲しくなりました。これからも缶・びん詰、レトルト食品の安全性の追求と普及に努めていきたいと考えています。

 (食品微生物学研究室 山口敏季)


<2004年9月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. コーンスープの粘度低下に関する研究

  2. 接種試験用ボツリヌス菌の諸性状

  3. 好熱性嫌気性細菌の芽胞形成用培地の検討

  4. デンプン懸濁液の連続流動殺菌

  5. 食品の回転殺菌における熱伝達

  6. オンライン情報検索

  7. インターネットによる情報管理

  8. データベースの実用化

依頼試験

新規受付22件、前月より繰り越し22件、合計44件。うち完了21件、来月へ繰り越し23件。

主要項目:貯蔵試験、原因究明(異物、ピンホール)、揮発性成分分析、栄養成分分析、微生物接種試験、菌株同定、変敗原因究明、無菌試験、容器性能試験、試製(殺菌)、英文証明書作成、通関統計データ処理

その他

  1. ワークショップ(クレーム原因に関する)業務

  2. 殺菌管理主任技術者講習会関係業務(講義担当、試験採点および査定)

  3. 分析展調査(幕張)

  4. レトルト食品品評会業務

  5. 日本食品微生物学会聴講

  6. 食品包装プロセス研究会関連業務

  7. 食品サニタリ技術協会調査

  8. STN BIOSIS&食品データベースセミナー参加

  9. 会員サービス他(技術指導、文献調査、見学、電話、電子メール回答)


登録:2004/11/16
Copyright (c) 2004, (社)日本缶詰びん詰レトルト食品協会 Japan Canners Association