(缶詰時報 2001年9月号掲載)


今年の夏は猛暑、酷暑、炎暑などと言われ、本当にうだるような暑さです。連日30℃を軽く越え、私も朝から大汗をかきながら通勤しております。ある朝のテレビのお天気コーナーでは「今日の昼間は(かなり気温が上昇するらしく)出かけないほうが良いですよ」と言っていました。なんて大げさな言い方をするのだろうと思ったのですが、この夏の暑さで何人もの方が熱中症になり命を落とされたことは事実ですから、大げさな表現の方が注意を促し、かえって良いのかもしれません。

そこで調べてみたところ、ひとくちに熱中症と言っても症状や発生原因によって熱疲労、熱けいれん、熱失神、熱射病に分けられることがわかりました。
熱疲労は発汗により脱水状態になり起こる疲労のことで、症状は脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがあります。熱けいれんは大量に汗をかき水だけを補給し血液中の塩分濃度が低下して起こります。

症状は足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴うけいれんなどがあります。熱失神は体温調節のため血液の循環に異常をきたし、呼吸回数の増加、顔面蒼白、血圧低下、一過性の意識喪失などの症状があります。そして、熱射病は体温の上昇により中枢神経に異常をきたした状態で、運動障害や錯乱、意識障害が起こり、昏睡状態になるなど死にいたる危険性が非常に高くなります。軽い症状で放置しておくと急速に重症へと進んでしまうため早急に適切な処置をすることが大切です。

これら熱中症にかかりやすいのは高齢者や乳幼児ばかりではなく、体調不良や体力が低下した時、急に暑くなった時にも注意が必要で、暑熱環境下での労働や運動中にも起こることがあります。缶詰、レトルト食品製造現場にも高温多湿な環境があります。こまめに水分補給し(0.2%程度の食塩水が適当)、健康管理も万全に、まだまだ残暑厳しいこの夏を乗り切りましょう。
        

(第一研究室研究員 田口真寿美)


<2001年7月の主な業務>

試験・研究・調査

  1. 密封容器詰食品の誘導電流および通電加熱による加熱殺菌技術の開発 
  2. みかん缶詰の恒温放置中における菌数変化 
  3. 高度精白米におけるボツリヌス菌の発育挙動に関する研究 
  4. 果実缶詰等クレーム対応と品質向上に関する研究 
  5. インターネットによる情報管理

依頼試験

新規受付22件、前月より繰り越し16件、合計38件、うち完了18件、来月へ繰り越し20件。
主要項目;缶詰食品の貯蔵試験、原因究明(変色)、異物検定、成分分析(栄養成分、色素、ガス)、変敗原因究明、細菌接種試験、菌株同定、カビ同定、菌株分与、証明書作成、容器性状試験、缶密封試験、殺菌試験、FDA登録関連業務、通関統計データ処理

その他

  1. チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、事務業務)
  2. 主任技術者講習会(品質管理:講師担当、HACCP:資格査定、殺菌:事務、巻締:資格査定) 
  3. 講演会聴講(食品研究所長会)
  4. 会議(本会技術委員会)
  5. 新版製造講義原稿執筆 
  6. 会員工場見学 
  7. 会員サービス(来訪対応、電話、電子メール回答など)

登録:2001/9/14
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