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(缶詰時報 2000年9月号掲載) |
私は、食品工学研究室で米国のFDA規則関連業務を十数年間担当しております。
ご存知のとおり、米国はボツリヌス菌による食中毒防止のため、対象となる製品を輸出する際は、FDAに工場を登録し殺菌条件を申告しなければなりません。
初めて研究所に勤務して、微生物学研究室の松田典彦氏(昨年退職されました)にFDA規則の説明を受けた頃はあまり実感がありませんでした。ボツリヌス菌について知識はありましたが、具体的な事故を知る機会がなかったからです。しかし、すぐその恐ろしさを知ることになりました。缶詰ではありませんが、修学旅行のお土産による「からしレンコン」の事故でした。ボツリヌス菌毒素で11人もの死亡者がでたことを知り、この規則の重要さを認識したものでした。
入社当時のFDA申告製品はツナ、イワシ、サバといった水産製品が多かったのですが、その後レトルトカレーやカニかまぼこといった製品に変わり、現在は日本人の駐在員や旅行者向けでしょうか日本食や飲料の登録が主流です。容器や種類も多様化して缶詰以外の業者から、問い合わせが増えてまいりました。そのため、FDA規則の説明をする際に、「からしレンコン」の食中毒を例に、その重要性をご納得いただいております。
また、当会のホームページを見ました、という一般の方や食品業以外からの問い合わせも多くなりました。全てにお答えできませんが、出来るだけ分かりやすい説明ができる様に努めております。
それにしても、外国は近くなりました。米国FDAへの書類の郵送は1〜2週間を要したものでしたが、現在は託送便で1〜2日です。その間の配達状況はインターネットで確認できます。質問事項はFDA担当官に電子メールで直接問い合わせをしていますが、英語力が追いつかず何倍もの時差を必要とするのが悩みの種です。(第3研究室研究員 細井順子)
<2000年7月の主な業務>試験・研究・調査
- みかん缶詰の恒温放置中における菌数変化
- 密封容器詰食品の誘導電流等による加熱殺菌技術の開発
- インターネットによる情報管理
依頼試験
新規受付18件、前月より繰り越し18件、合計36件、うち完了15件、来月へ繰り越し21件。
主要項目;各種缶詰の貯蔵試験、原因究明(変色、容器腐食、異臭など)、異物鑑定、揮発性成分分析、重金属分析、栄養成分分析、細菌接種試験、芽胞数測定、かび同定、無菌試験、変敗原因究明、証明書発行、殺菌試験、FDA登録関連業務、通関統計データ処理
その他
- チルド食品・食品包装プロセス研究会業務(情報誌作成、会議開催事務)
- HACCP主任技術者講習会講師担当
- 巻締主任技術者資格査定会
- 講演会(食品包装技術セミナー、ミールソルーション研究会、食品研究所長会)
- 会員サービス(来訪対応、電話回答など)
- 外部会議(長野県缶詰協会)
- テレビ取材協力