新年のご挨拶

西会長あけましておめでとうございます。

日本の景気の状況は,昨年の国内総生産(GDP)が一昨年と同様に4~6月期と7~9月期の2期連続でマイナスとなり,景気後退期との見方があります.GDPのおよそ6割を占める個人消費が,一昨年の消費増税後低迷している状況がその要因の一つのようです.一方で,海外から日本への渡航者が増加傾向にあり,経済的には観光が新たな成長分野として期待されています.また,昨年イタリア・ミラノで開催された万国博覧会では,日本館が大盛況で“和食”が新たな輸出戦略として期待がかかります.

自然災害では,一昨年と同様に局地的豪雨や爆弾低気圧,台風により各地で大きな被害が発生しました.また,火山の噴火や地震も全国各地で起こりました.このような自然環境の変化ならびに自然災害は地球規模で起こっており,これらの災害等から命を守る行動や活動が我々にとって重要な課題となっています.

社会面では,東日本大震災からの復興,福島第1原子力発電所の今後の処理,川内原子力発電所1号機の再稼働に伴う今後のエネルギー対策,TPP・環太平洋経済連携協定の合意による今後の行方,東シナ海情勢など多くの課題が山積している状況です.

食品業界は,原油価格は下落しているものの円安による原材料のコスト高の影響が大きく,商品の値上げが相次いでおります.また,猛暑や不安定な天候が水産物や農産物の生育に影響し,漁獲量や収穫量が減少して価格が高騰したことも,消費の活性化に水を差す状況となっています.平成29年4月には消費税率を10%に引き上げることが決定していますが,軽減税率の適用範囲に加工食品が含まれるかどうかも業界に大きな影響を及ぼしそうです。 昨年4月1日付で新たな食品表示法が施行されました.これまでの食品衛生法,日本農林規格法および健康増進法に基づく表示の基準を一元化したものです.経過措置期間が5年間ありますが,製品へ表示する際には改版を要するため,表示内容の変更点等についての正確な情報収集が重要となります. 一方で,これまでの特定保健用食品,栄養機能食品に続く第3のジャンルとして機能性表示食品制度が創設されました.今後,生鮮食品から加工食品まで,科学的根拠に基づいた機能性を表示した様々な食品が店頭に並ぶことになるかもしれません.

本会は,公益社団法人に移行して4年目となります.また,一昨年には本会の名称を「日本缶詰びん詰レトルト食品協会」に変更いたしました. 本会は,4つの公益目的事業であります普及啓発事業,調査・情報伝達事業,人材育成・相談事業および研究開発事業を柱として,会員間の相互扶助を目的とした部会活動などの共益事業や収益事業,そして法人事業にも積極的に取り組んでおります.

普及啓発事業の活動としましては,昨年は8月30日に「防災の日 缶詰,びん詰,レトルト食品フェスティバル」を秋葉原で開催いたしました.秋葉原での開催は4回目となり,当日は1万名余りにご来場いただきました.来場者の方々には缶詰,びん詰,レトルト食品が,個食,即食,災害食として優れていることを認識していただけたものと思っております.本年も普及啓発活動を積極的に進めてまいります. 調査・情報伝達事業では,国内の缶詰,びん詰,レトルト食品の生産統計や環境問題等に関する情報収集を行い,缶詰時報やホームページを通じて公表しております.本年も皆様のお役に立てるような情報の提供に努めてまいります. 人材育成・相談事業では,従来,缶詰,びん詰,レトルト食品に関する基礎技術習得から技術者育成に至るまでの各種講習会を開催しております.容器が多様化するなかで,従来の講習会に加えてプラスチック容器詰食品の製造技術に特化した講習会を一昨年より開講し,多くの会員企業等からご参加をいただいております.本年も引き続き人材の育成を通じて技術力の向上を図ってまいります. 研究開発事業では,缶詰,びん詰,レトルト食品の製造に関する基礎研究や新技術開発について研究を行っております.本年も安全性の確保と品質向上に繋がる研究を続けてまいります.

本会は,創立以来,消費者の利益は業界の利益になるとの考えで「缶詰の普及と品質の向上」に取り組んでおります.昨年は,加工食品やファストフードチェーンで異物クレームが相次ぎました.これらの事例から,クレームには初期段階において誠実かつ真摯に対応することが必要であると再認識いたしました.私たちは,加工食品に対する消費者の期待を裏切ることのないよう業界団体として誠実を旨とした事業運営に努めております.本年もこの方針を守りつつ事業を行ってまいります.

最後に本年も関係各位に一層のご支援・ご協力をお願いしますとともに、本年が皆様方にとってよりよい年になりますことを祈念しまして、新年のご挨拶といたします。

 

平成28年 元旦

 

公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会
会長 久代会長サイン
(にし ひでのり)

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